神 世 (前編))

 

                                           

神世(かみよ)は神代とも書き、神が治めていたという時代のことで日本神話では神武天皇の前までの時代をいう。
自然の物(草木)には神が宿るとする思想は「神道」とよばれる。神道は日本で集団で人間が生活を始めた一万年前くらいから3千年前位前に自然発生的に産まれた思想だといわれている。
京都市山科区にある日向(ひむかい)大神宮は天照大御神(アマテラスオオミカミ)を主たる御祭神とする神宮である。社殿は神明造で、内宮(ないく)と外宮(げく)が奉斉され「京のお伊勢さん」として名高く、昔は東海道を往来する旅人たちの道中の安全祈願や伊勢神宮への代参として賑わった。
境内には内宮や外宮をはじめ数多くの神社が存在するので「神世」を体験できるのでは、と秋から冬にかけて何度か訪ねてみた




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社務所に懸けられた三枚の御幣が「これより中は神域」と語る。



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その奥にある神饌所。直線が交わる意匠が参拝者の気持を引き締める




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くもの巣に引っかかったのが杉の葉というのがこの神宮らしい。



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空を見上げるといかにも「神世」という空模様になってきた。



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右手前の二つの屋根が外宮で左奥が内宮である。本来は外宮を参拝してから内宮へ行くのが正しい。




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内宮へ行く橋に前夜の雨で散った落ち葉が…。





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この橋で勾玉(まがたま)池を越えるといよいよ内宮である



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参拝しようとすると急に光が射した。その光を見て御祭神が太陽神と称えられる天照大御神であることに気付く。さすがである。



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見上げると神明造の大屋根にも日が当たって装飾金具が輝いていた。



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内宮の内部は恐れ多くもこれ以上は覗けない。静かに手を合わせる。



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天の岩戸へ向かう登り道にさしかかるとあたりが暗くなり濡れた藪の葉だけが光る。まるで天照大御神が天の岩戸にお隠れになったときのようだ。



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神世の昔からこの石を何人の人が踏みしめて登って行ったことだろう。



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天の岩戸の入り口にはやはり三つの御幣が懸かる。中は暗く、足を踏み入れるのに躊躇する。



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暗い洞窟の奥に何かが見える



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それは小さな祭壇であった。「岩戸伝説」の通り、それは戸隠神社と呼ばれている。



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洞窟の外から明るい光が入ってきた。天照大御神が岩戸の外へ出られたときはこのような感じだったのだろう。初めて経験する皆既日食で恐れおののいた古代の人々が再び光を取り戻していく様子がこうして神話という形で残されているのである。

天の岩戸をくぐり抜ければ心身の穢れが祓い清められ、神の光を仰ぎ福運を招くといわれている。そろそろ岩戸から出なければ…。
(後編に続く)