日本の旅



日本の旅 吉田松陰の旅姿(山口県萩市)

松陰は幼いころから秀才と噂され、11歳のときには藩主・毛利敬親の御前で兵学講義をしました。敬親はいたく感激して松陰の才能を認め、その後、遊学許可の便宜を図ります。
そこで、九州を皮切りに全国を遊歴し、各地の知識人と交流。北は青森、南は長崎まで5年足らずの間に歩いた距離は13,000kmにも及んだといいます。
次の写真は遊学中の松陰の旅姿で萩博物館に展示されていたものです



(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)  

青森から長崎にまでも及ぶ旅が松陰の思想を造ったとすれば、旅こそ松陰の象徴かもしれません。
ひたすら歩くものであった当時の旅を思えば、像を正面からでなく、横から捉えたからこそ、歩く姿、旅する姿が強く訴えかけてきます。
しかも、正面の表情が分からず、全体も影絵のように写された像は、それゆえに、松陰の心の内の思いを写し出しているかのようです。

幕末ファンならぬ私も、松陰の旅についてもっと知りたくなりました。


日本の旅 対馬(つしま)の和多都美神社

和多都美神社 (ワタツミジンジャ)は海幸山幸伝承と竜宮伝説に彩られた、海の女神・豊玉姫を祭る古社です。
本殿正面の5つの鳥居のうち2つは、海中にそびえ、潮の干満により、その様相を変え、遠く神話の時代を偲ばせる神秘的な雰囲気を漂わせています。

ところが最近マナーの悪い韓国人客に悩まされ、ついに立ち入りを禁止する看板を境内に掲示しました。
神社禰宜(ねぎ)の平山雄一氏への産経新聞のインタビューでは「韓国人客が大声で歌いながら踊り、弁当などのゴミの放置やご神体石に投石するなど日本の伝統文化を蔑(さげす)み、自らの感覚だけで他国の大切な文化を捉える姿勢は、甚だ遺憾である」と語っています。

そして、日本人に差別的な言葉を投げかける韓国人旅行者の立ち入りを禁じると、逆に差別だと批判が寄せられるありさま。さらには対馬を韓国領土だと主張するセミナーを開いているとのこと。このままでは韓国に不法占拠された竹島と同じ悲劇になりそうです。

平山氏は続けます。
「日本人が対馬という国境離島に目を向けてもらえれば、観光公害対策や国防にもつながる。ぜひ多くの日本人の皆さまに足を運んで頂き、現地で、国境の最前線、神々の島を体感してほしいと思う」と。
次の写真は一年前に対馬を訪ねた時に撮影したものです。

福岡から飛行機で30分、船で24時間で行ける対馬をぜひ訪ねて下さい。

(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

海に立つ鳥居のあたりに、海中の海神(わたつみ)の宮から、豊玉姫が姿を現しそうな風景です。
豊玉姫が祀られる遥か古代から、朝鮮半島と日本を行き来した無数の人々が、中継地である対馬に助けられただけでなく、この美しい風景に、玄海灘の航海の無事を願ったのだろうと、思いを馳せました。
豊かな緑と美しい海に、人々は対馬を神の居ます島と見たのではないかと感じさせてくれる作品です。

少しでも理解を深め合う事で、対馬の景観を次の世に伝え、誰もが癒しを得られる島であり続けるよう、願わずにいられません。


日本の旅 信長と安土城

信長といえば「鳴かぬなら殺してしまえ」で知られる通り、比叡山焼き討ちや一向一揆など仏教勢力に対する苛烈な処置や家臣に対しても厳しい態度で接し、最後は家臣に殺されるという最期を迎えます。
しかし前例のない事を積極的に実践する性格で、関所の廃止や楽市楽座などで人の行き来を盛んにして、経済を活性化するなど善いこともしています。

その信長が天下統一の拠点として琵琶湖畔に築いた安土城ですが、完成からわずか3年で焼失。城を見ることはできませんが安土城考古博物館と信長の館を訪ねました。
信長の館には安土城天主(56)が展示され、内部には金碧障壁画や金箔10万枚を使用した外壁、金の鯱をのせた大屋根など絢燗豪華な安土城がここに復元されています。
しかし残念ながら撮影禁止でしたのでこちらをご覧ください。

これだけの天守が焼け落ちたことは残念ですが天守をイメージした博物館を帰り際に撮影したのがこれです。
暗雲が空を覆いつくし、まるで信長の最期を物語るかのようでした。

(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

安土城をイメージした天守の上を覆うおどろおどろしい暗雲がまさに信長が迎えた最後を、信長の胸中を語っているかのようです。暗雲の象徴するものは、モノクロだからこそ伝わると思います。
天守と雲という刻々と移ろう自然現象との偶然の出会いを捉えて、信長の最後の心の内にまで想像をかきたてさせる表現に、写真の魅力をあらためて味わいました。


日本の旅 都会のジャンボ蟹(かに)

ネオン輝く大阪の観光名所・道頓堀で、ひときわ目立つ巨大なカニの看板。キダタローのCMソングで一躍有名になった「かに道楽」道頓堀本店で今日も元気に動いています。
このお店は「ナンパ橋」の通称で知られる戎(えびす)橋の目の前にあり、向かいのコーヒーショップから撮影しました。
のカニは三代目で初代から数えると2年前に還暦を迎えたとか。
ぼくと同じ喜寿までがんばれよ!


(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

迫力に圧倒されました。
関西人でなくても、テレビなどでお馴染みではありますが、画面の中の人物と比べて、大きさが実感できます。まさに大阪のパワーの象徴だと感じます。
ハサミの形もあらためてよく見ると、明日を切り開いてくれそうな
商業の看板でありながらも、圧倒的なパワーで気持ちを支えてくれる御守りかもしれません。


日本の旅 木曽馬籠宿(岐阜県)

今も江戸時代の面影が残り、島崎藤村のゆかりの地としても有名な馬籠宿は中山道43番目の宿場町。ノスタルジックな雰囲気の宿場町には晩秋の風情が似合います。
老舗の旅人宿ではタヌキが徳利を持って迎えていました。

(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

思わず笑いました。狸は宿の番頭さんでしょうか。
写っていない画面の左外には、宿に泊まる旅人が今到着して、狸に迎えられているかのようです。

いかにも旅人と言葉を交わしているかのような狸の表情が何ともチ
ャーミングで、こんな宿に泊まってみたくなります。

江戸時代にタイムスリップしたような馬籠宿らしい、小咄が生まれそうな物語を感じる楽しい写真です。


日本の旅 伊賀上野城(三重県)

ここは伊賀流忍者の里。城内のトイレにこのような暖簾がかかり、利用者は思わずニンマリとして中へ入ります。
この地にこのようなユーモアがあるのはさすが俳聖 松尾芭蕉の生誕地だからでしょうか。
ちなみに、「白鳳城」とも呼ばれるこの城を市が「伊賀文化産業城」と名付けたそうですからやはりこの街には楽しい何かがありそうです

(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

居ながらにして、伊賀のユーモアに和みました。この暖簾から中に入ったら、忍者に変身して、別のどこかに姿を現してしまうかも・・と想像しました。

市の「伊賀上野文化産業城」の名付けに、伊賀の伝統文化を新時代に生かしている姿を感じます。


日本の旅 住吉大社 奴振り(やっこふり)

大阪の住吉大社では花嫁行列を写真の供奴(ともやっこ)が先導します。
奴振りとも奴行列ともいわれ、主人となる人物の格式を表す仕掛けだそうです。

趣向を凝らした掛け声などを聴くと楽しくて、もう一度式を挙げたくなりました()



(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

楽しい作品です。
武家文化に由来する奴振りが、住吉大社の花嫁行列に行われているとは意外でした。
住吉大社には、古代からの神話にも関わる大和朝廷との結びつきや、厳かで独特な神事のイメージがあります。一方で、広く民衆の信仰をも集めてきた歴史を、この奴振りが物語っているかのようです。
奴さんのユーモラスな出で立ちの列を、神職さんの白い装束が引き締めているように見えます。行列が同じ歩調で画面奥へと連なっているので、遠ざかってゆく動きを感じます。
奴さんが後ろ姿なので、表情やかけ声に想像が膨らみ、楽しい気分になりました。


日本の旅 金沢城河北門(二の門)

金沢城の実質的な正門である「河北門(かほくもん)」が約130年ぶりに往時の姿でよみがえったと聞き、撮影に出かけました。
城内で最大規模を誇るだけに他を圧倒する存在感で、雨に煙る山々を背景に堂々たる姿を見せてくれました。
そして金沢城の西側、黒い海鼠漆喰が特徴の「鼠多門(ねずみたもん)」も約
140年ぶりに復元整備されたので新たな金沢城をぜひ訪ねて下さい。


(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

写真はアングルが大切と、今更ながらに感じました。
質実でありながら威風堂々として、しかも品格ある城門の佇まいは加賀の気風を感じさせ、それは、このアングルによって表現されています。
雨に霞む山並みという自然と、人が造った城門という歴史が一体として捉えられた、金沢を感じさせる深い作品だと思います。


日本の旅 富士山(山梨県)

後期高齢者になって「死ぬまでにもう一度富士山を見ておきたい」と思い立ち先週富士山へ出かけました。
五胡をすべて回りましたがそれぞれに雪を頂いた姿を見せてくれました。中でもこの河口湖は裾野まで広がり最も堂々とした姿でした。
世界遺産になったせいでしょうか、感心したのは建物などの規制が行きわたりすばらしい景観が守られていたことです。
富士はやはり「日本一の山」でした。

(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

水墨画のような幽邃な画面に、モノクロの表現の究極を見る思いです。
空、対岸の木々の連なり、かすかなさざ波をたたえた湖面、手前の草すべての形と、その色(白と黒、その間のグラデーションの明暗)によって、富士山の雄大さ、なだらかな線の美しさ、気高さを引き立てていると思います。
富士山を際立たせるために、計算されつくした構図だと思うのですが、だからこそ、そうした息苦しさを感じさせず、見る者の心を穏やかに解き放ってくれるように感じます。


日本の旅 吹雪の雪上車(美ケ原)

冬季の美ヶ原高原は宿の雪上車でなければ動けません。その途上で吹雪になりました。
滅多に見れない光景なので降車して写させてもらいました。マイナス8度ぐらいだったでしょうか。でも撮影中はそれほど寒さを感じないのが不思議です。

(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

夏の美ヶ原からは想像できない風景です。
左下に雪上車が一部写っているのと、タイヤの跡から自分が今、雪上車から降り立ってこの光景を目の前にしているような臨場感を覚えます。
空も大地も青い世界に舞い飛ぶ吹雪は幻想的で、風景写真でありながら、どこか装飾的な美しさも感じます。

それにしても、温かい部屋で、マイナス8度の絶景を楽しめるとは贅沢です。


日本の旅 明治の郵便ポスト

安芸の小京都と呼ばれる広島県竹原市。江戸時代そのままの町並み保存地区では塗り込めの白壁、棒瓦の屋根、竹原格子が当時の繁栄を今に伝えています。
これは初代郵便局跡に残る明治
4年のポスト(書状集箱!)ですが、なんと現在でも使用できるのです。

旅先ではスマホのメールではなく絵葉書を投函したいものですね。


(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

こんなポストから手紙が出発した時代、音信に時間はかかっても、繋がり方は深かったのではないでしょうか。
古い生活文化を見える形のまま残すことは、現代が得たもの、失ったものに気づかせてくれる意味があるかもしれません。


日本の旅 越前岬の光芒

海岸線が美しい福井県の越前岬。日本海の荒波の彼方に雲間から夕陽がもれて海を照らします。
これは秋から冬にかけての寒い季節に見られる現象で、撮影できる確率が高いですよ。


(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

越前岬の夕暮れが、こんなにも神々しい風景を見せるとは。
越前海岸の自然に宿る神が一瞬見せる厳かな景観を、モノクロのような光と陰で表現した作品と感じます。
古代、大陸に向かって開かれていた越前海岸の歴史も思われ、数多の人々も見た光芒の景観かと、ロマンもかきたてられます。


日本の旅 宇佐神宮のおみくじ

大分県国東半島の宇佐神宮は全国八幡宮の総本社で神仏習合の文化が今日まで受け継がれています。

境内は広く、国宝の本殿のほか多くの社殿が点在し、雪のように見えるおみくじを見ても参拝者がいかに多いかが分かりますよね。


(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

色彩は朱、白、緑のほぼ三色のみ、社殿の柱などやおみくじは直線のみという明快な対象を、正面から捉えた画面が、おみくじに託された願いを強調する効果を生んでいるように思います。

おみくじに願いを託すことで、人は前に進む力を得るのではないかと思いました。


日本の旅 真夏の南極

氷山とペンギンを水中カメラで撮影・・というのはウソで大阪の海遊館でガラス越しに写しました。各地の水族館がいろいろな夏のイベントをしています。南極ほど涼しくなくても水に囲まれているだけで涼しさを感じることができそうですね。


(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

一瞬、南極と思い込みそうになりました()
海遊館に行ってみたくなりましたが、実際の見学では、南極と見紛うような楽しみは得られないかもしれません。
写真家のセンスと技術による遊び心を通してこそ味わえる楽しみを感じます。

水に動きがあって、自分も水中に浮かんで、揺られながらペンギンを眺めているような心地良さも感じる写真です。


日本の旅 奈良の神鹿(しんろく)

春日大社の参道で撮影。鹿の毛は年に二度生え変わり、撮影した5月は冬毛から夏毛に変わる時期であまりきれいではありませんでした。
奈良公園の鹿は、約1300年の昔から大切に保護されており1957年には国の天然記念物に指定されています。

また、奈良公園の木々は、下枝や下草がなく遠くまで見通しがよくなっています。この景観は、約2mの高さまでの下層植生や下枝を、鹿が食べてできており、この景観を奈良では、鹿摂食線(ディアーライン)といい、鹿が外的から身を守るために、見通しをよくしているそうです。

この愛くるしい瞳の神鹿に会いに奈良公園へぜひ!


(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

鹿の愛らしい瞳に癒されつつも、鳥居を背景にした姿に神鹿の神々しさを感じます。
そして鳥居との取り合わせで、春日山に降臨した神を乗せて、鹿島から奈良へ旅した神鹿の子孫に見え、ロマンを感じます。

陽射しを受けて明るく写っている鹿に対して、暗い背景に浮かぶ鳥居と上方のかすかな光が神秘な雰囲気をかもして、鹿の愛らしさも、春日大社と鹿の厳かな歴史も楽しめました。


日本の旅 明治村(愛知県犬山市)

明治は遠くなりにけり・・若い頃、明治はこんなんだったのだと楽しく見学したものです。
しかしこの歳になりますと、知らない明治よりも「体験した昭和」の方が身近で、思い出の一つ一つが胸に迫ってきます。

〜 昭和は遠くなりにけり 〜



(以下文様文化講師 山口貴実代先生より)

明治村の写真としてよく見る建築物ではない被写体に新鮮さを感じます。
柔らかな光によって、明治へのノスタルジーが効果的に表現されているように思われ、行灯に描かれた当時の人々への、写真家の温かい眼差しも感じます。


日本の旅 水温む(新潟県瓢湖) 

白鳥の渡来地として国の天然記念物に指定されている「瓢湖」。
白鳥は毎年
10月上旬から3月下旬まで滞在し、ピーク時には5,000羽〜6,000羽の白鳥が飛来するそうです。
夕陽を浴びている姿は春が近いことを感じさせます。




(文様文化講師 山口貴実代先生より)

春の淡い光射す湖面に憩う白鳥たちに、同化されてしまうような心地よい写真です。穏やかな湖面を、白鳥たちが音もなく泳いでいるかのように見える画面です。
その動きに誘われて、自分も画面の中の一羽になり、北への旅立ち前の憩いのひとときを過ごしているような気分になりました。
無事に旅をして、また冬に戻ってこられますように!


日本の旅 冬の十和田湖畔 

手前の小さな雪ダルマに灯りが点り、遠くに停泊する観光船もイルミネーションで輝いています。観光客が宿でお風呂や宴会を楽しんでいる夕刻が撮影には一番良い時刻なので辛いなと思います。しかし、夕景を撮り終えた後のビールを楽しみにがんばりました(笑)。



(文様文化講師 山口貴実代先生より)


雪景色なのに、観光船や雪だるまの灯りに温かさ、夢を感じました。
画面下を、雪だるまの灯りが並ぶ湖岸が斜めに区切り、空と湖を向こう岸と山並みが区切り、その間に湖が囲まれていることで、イルミネーションの観光船に自然と目が向かいます。
詩情溢れるロマンチックな写真も、それが伝わるためには、写真家の感性と技術を両輪とする、構図への計算あってなのでしょう。


日本の旅  高千穂の朝(宮崎県) 

標高513mの国見ヶ丘は、雲海の名所として有名です。
雲海の見頃は秋の早朝で、快晴無風の冷え込んだ日に見られます。

雲海と紅葉が織りなす光景は、まさに神話の里。



(文様文化講師 山口貴実代先生より)

神話の生まれる場所とは、このような自然の神秘が見られ場所なのだと感じました。
手前の紅葉や、雲海の向こうに姿を現している木立は地上を実感させ、左遠景の霞む山並みに視線を転じると、自分も今ここに降り立ち、「何と美しい地だろう」と眺め渡しているような気分になりました。


日本の旅 蓼科山の朝(長野県) 

白樺湖から朝の蓼科山を撮影。諏訪富士とも呼ばれ、優美なシルエットを見せてくれます。



(文様文化講師 山口貴実代先生より)

眺めていると気持ちが「素」になる写真です。
朝の光を受けて、蓼科山の優美な姿と湖畔の木々が湖面に映り、かすかに揺らいでいる風景は、私たちが高原の朝に抱く清々しさ、ロマン的な気分そのものに感じられます。

モノトーンに近い光と影の表現から、この風景の魅力が伝わってくるのだと思います。


日本の旅 お遍路さん(播州一乗寺)

法華山一乗寺は兵庫県加西市にある西国三十三所の第二十六番札所です。午後おそくに訪れたので石段を上がる巡礼者に夕陽が射しこんでいます。



(文様文化講師 山口貴実代先生より)

遅い午後の柔らかな日射しが観音様の慈悲のように感じられます。

鬱蒼とした木立の暗さの中、観音様との結縁を求めて石段を上り始める人々を、もう結縁を約束して下さっているかのように、柔らかな光で励ましているかのようです。


日本の旅 さりげなく (越中高岡)

越中高岡市の民家で撮影した鉄瓶。市の伝統工芸品が庭を借景に「さりげなく」置かれていました。背景との調和が見事で、この家の主人のセンスの良さに感心した次第です。



(文様文化講師 山口貴実代先生より)

「さりげなく」というタイトルそのものの美意識を感じました。

屋内の鉄瓶と手前の陰影、対する庭の明るい緑の対照は、お互いに引き立てあって、内と外が一つの風景を構成していると感じます。

地場の伝統工芸品を生活の中に取り入れ、このような「しつらえ」を楽しまれる方の、無意識に考え抜かれた美意識、その美意識によって「図らずも」形になった風景なのではないかと、思いがめぐります。

さりげない美とは、実は考えられ磨き抜かれて、でも、そうとは感じさせない境地なのだろうと、この写真が教えてくれるようです。


日本の旅  北海道の花畑

美瑛町の「四季彩の丘」で撮影。広大な花畑に、春から秋まで30種類もの花が見られます。
パンフレットなら絶対に青空ですが、朝霧もいいでしょ!?




(文様文化講師 山口貴実代先生より)

花畑の人工的なラインが朝霧に霞んでいることで、かえって花畑がどこまでも続くような遠近感を生んでいると思います。

クリアな風景だけを美しいと感じるのではなく、「霞む」「煙る」「おぼろ」といった、あからさまでない湿度感を通して情趣を感じるのは日本の美意識ではないでしょうか。

そのような美意識で、乾いた空気感のイメージがある場所を捉えているのが、とても新鮮に感じられます。


山形羽黒山の出羽神社



夏越の大祓で茅の輪を白人女性がくぐりました。日本の宗教行事なのでこれは珍しいことです。新型コロナの前だったので誰もマスクはしていません。このようにいつでも外国の人が来られる平和な時代に戻って欲しいものです。

奈良町の庚申さん



ならまちを歩いていると、家や店の軒先に赤い人形がぶら下がっているのを目にします。これは、サルをかたどったお守りで災厄を代わりに引き受けてくれることから「身代り申(さる)」と呼ばれ、奈良町の人気者になっています。

滋賀県 近江八幡

情趣あふれる八幡堀の釣り人・・ではなくこれは人気時代劇の撮影中にスナップしたもの。江戸時代の平和なひと時が感じられるワンシーンですね。




この土地らしく、水と緑の魅力が生きている作品と拝見しました。まさに物語の一場面のようで、タイムスリップして引き込まれます。

葦の緑が映り込んでいる水面のゆらめきが夢幻の世界で、近江八幡の魅力が伝わってきます。

(文様文化講師 山口貴実代先生より)

 津山慕情

桜で有名な岡山県津山市では「さくらまつり」が開催されます。
城東町並み保存地区ではご覧のような素敵な灯りが皆様を待っていますよ。




初めて知る津山の街も含め、光と影は写真の永遠のテーマなのだろうと、改めて思いました。

輝きと、その中にひそむ憂いのようなもの春だけが持つ情趣を、居ながらにして楽しませて頂きました。

(文様文化講師 山口貴実代先生より)


 雪の八甲田山


これだけの樹氷を見ると新田次郎の小説を思い浮かべますね。それにしても二人のスキーヤーがうらやましい。


  石川県白峰村 雪祭り



愛らしい雪だるま達は語り合っているようで、私も仲間に入れてほしくなりました。
物語を感じる温かさは、やはり写真家の目を通した構図にあるように思いました。

  
(文様文化講師 山口貴実代先生より)


  滋賀県 湖北の落陽


あまりにも美しいこの感動は、とても言葉にできませんでした。

以前に十一面観音を巡った思い出の地でもありますし、とにかく琵琶湖、特に湖北は特別な場所です。

古代から、どれだけの人々がこの夕景を目にしたことか、そして、どんな思いで眺めたのかふと思いを馳せたりもします。

 (文様文化講師 山口貴実代先生より)


  倉敷のんびり観光

ドローンで撮影・・とはウソで橋の上から魚眼レンズで俯瞰撮影しました



魚眼レンズで倉敷を撮る発想には驚きました。
倉敷で最も印象的な、あの川と両側の街並みの直線が、魚眼レンズによって強調されていることで、その美しさを再発見!

人間の目で見る以上のことを見られる、知ることができる、写真の可能性の楽しさを感じました。

 (文様文化講師 山口貴実代先生より)

女剣士


女剣士 恵(めぐる)さん   コスプレイヤー 
nd08-938
女剣士 ぺっぺさん   コスプレイヤー 
nd08-951
津山での撮影会の後、すぐに帰らずにこの城郭へやってきたのはこのコスプレイヤーたちと出会うためだったのかもしれません。
夕陽をバックにした彼女たちを見た時、写さねばならないと体が動いていました。彼女たちも快く了解してくれて、何枚もシャッターを切った一枚です。

街へ出ようよ!



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グランフロント大阪で見つけた素敵なサインです。新緑の爽やかなシーズン・・ルンルン気分で外出したくなる今にピッタリのサインですね。
サインを撮る時にはそのまま写すのではなく、このようにガラスの反射を取り入れるなど自分なりの工夫をしましょう。そうでなければあなたの作品にはなりませんよ。

氷 瀑



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この写真は岐阜県の新平湯温泉で開催された「タルマかねこおりライトアップ」で2月中旬に撮影したもの。これだけの氷瀑は京都では見られないだけに感動モノでした。
雪や氷の撮影では三脚やズームレンズは使わず、明るい単焦点レンズで「手持ち」で撮影するようにしています。足元が悪い中、荷物などの負担を少しでも減らすように心がけましょう。

白鳥の温泉浴



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厳寒の道東を撮影するためオホーツク海へ向かう途中、屈斜路湖で快晴になりました。湖畔の中ほどに砂湯があり、文字通り砂浜を掘るとたちまちに温泉が出て露天風呂になるので有名なところです。
見ると遠くシベリアからやってきたオオハクチョウが湯煙のなかで羽根を休めているではありませんか。白鳥の温泉浴は初めて見る光景でしたが、なんとものんびりした気持ちになります。


能登の落日



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オリンパスズイコークラブ大阪支部の皆さんと一泊で出かけたときに、ご覧のような見事な夕日を写すことができました。ピントは手前の波に合わせています。
10月は晴れる日が多い、と書きましたが朝日、夕日が美しいのも10月と11月です。
「秋澄む」という季語が示すように、空気が澄んで気持ちが良いですね。