随想 第114回  国 葬

何ということだろう。日本を代表する政治家を突然失ってしまった。

参院選の街頭演説中に銃撃され、67歳で死去した安倍晋三元首相の葬儀が712日の午後、東京・芝公園の増上寺で営まれた。歴代最長政権を築いた安倍氏の功績を、親族や参列者がしのんだ。この日までに計259の国や地域、機関から約1700件の弔意のメッセージが寄せられた。

バイデン米大統領やグテーレス国連事務総長、英国のエリザベス女王、ウクライナのゼレンスキー大統領からロシアのプーチン大統領に至るまで、各国の指導者らが弔意を示し、「世界は偉大なリーダーを失った」と同氏の早すぎる死を悼むとともに、卑劣なテロ行為を糾弾した。

多くの首脳は各国の日本大使公邸を訪れ、持参した花束を贈り、弔問者用のゲストブックに記帳して安倍氏の功績を讃えた。キッシンジャー元国務長官は「彼はアメリカの同盟国として、また、アジアの枠組みの柱として、不可欠な日本を築き上げた」との弔意を表明。

そして、ニューヨークの国連本部では、8日に開かれた国連安全保障理事会の冒頭、現在議長を務めるブラジルのコスタ国連大使が、「不条理な暗殺を悲しみ、衝撃を受けている」と述べ、安保理理事国15か国の代表ら全員が起立し黙とうをささげた。

さらに、インドのモディ首相は9日を安倍氏のために喪に服す日と定め、最大級の敬意と弔意を示した。

12日の葬列の映像を見たが沿道の人々から湧き上がる「安倍さ〜ん、ありがとう!」の大合唱に安倍さんが笑顔で答えているように感じたのは私だけではあるまい。死を悼んだだけではこれだけ多くの人は集まらない。いかに支持者が多かったことか、がよくわかった。

12日の葬儀で友人代表として弔辞を述べたのは、自民党の麻生太郎副総裁だったがその言葉が国民の涙を誘っている。

「安倍先生とは国益を考えるという点で絆として結びついていました。外交について、持ち前のセンスと一線を譲らない胆力、国際社会での日本の存在を高めた戦後の最も優れた政治家だ。退任後も外国首脳からシンゾーはどう言っているのかと今なお聞かれる存在であります」

「あなたを失ってしまったことは、日本という国家の大きな損失にほかならない。痛恨の極みだ」と悼んだ。また「正直申し上げて、私の弔辞を安倍先生にしていただくつもりだった。無念です」とも語った。

この弔辞は、本当に心から出た言葉と感じて涙が出そうになった。政治家としての美麗賛辞ではなく、友人としての喪失感が伝わる内容だった。

このように偉大な日本の指導者は日本人が国葬という最高の形で送り出すべきである。マスゴミは相変わらず反対派の声ばかり取り上げているが、賛成の人間の声にもっと耳を傾けてほしいものだ。

「多くの外国要人の弔問の場をつくってもらう意義は非常に大きい」(高市早苗・自民党政調会長)と支持する声もある。戦前の国葬と違い、国民に弔意を強制するものではないと岸田総理もはっきり言明している。反対する人の気持ちがわからない。

一線を譲らない胆力で国際社会での日本の存在を高めてくれた安倍さん、どうぞ安らかにお休みください。合掌