また暑い暑い夏がやって来た。近頃は歳のせいか、暑さが体にこたえるようになった。
上の写真は京都市左京区の鞍馬川である。鞍馬寺から奥へ十分ほど歩いたところにこの小さな滝がある。シャッタースピードを遅くして、水の色をより白くすることで「清らかな流れ」を表現してみた。そして流れ落ちる水の音が感じられるようにカメラアングルを工夫した。
鞍馬は市街地に比べて気温が低く、さらに瀬音を聞いているとより一層涼しさを感じる。だが、世界中の人が同じように感じるのであろうか?
「日 本人の脳」の著書で知られる角田忠信博士によると日本人と欧米人とでは左右の脳の働きに違いがあり、感性にも違いがある。我々は自然の音を聞いていろいろ
な感情を抱くが、欧米人は騒音と同類のノイズとして認識しているそうだ。川の流れの音、虫の音、風の音などを歌に詠んだり風情を楽しむといった他の民族に
はみられない感覚を我々日本人は持っているのである。
風鈴や 花にはつらき 風ながら(蕪村)
風鈴の音色一つで涼感を味わい、蝉の声で酷暑を表現する。制作者は常に聴覚をはじめとする五感を研ぎ澄ましていなければならない。
さて、今月14日から9月30日まで実施される「京の夏の旅」では「京の涼景と貴賓館をたずねて」をテーマに普段は非公開の文化財が特別に公開される。延暦寺大書院や平安神宮尚美館、そして大雲院祇園閣からの眺望を楽しむことができるという。
今までとは異なる視点から京の町を見れば新たな発見があるだろう。われわれ京都人は観光客以上に「京都」を知っていなくてはならない。定期観光バスのほか個人で巡ることもできるので詳しくは京都市観光協会(075-752-0227)に問い合わせるとよい。
あなたはこの夏どのような「涼景」をたずねますか?
(京都新聞 2007年7月11日掲載)
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