啓蟄を過ぎてからも寒い日が続いていた。そのせいで梅も椿も遅れており、まだ楽しむことができるが、まもなく暖かくなるという予報なので桜の蕾も一気に膨らむことだろう。
上の写真は京都市右京区嵯峨野にある野宮神社から大河内山荘へ続く竹林の道で今月初旬に撮影した。平日の寒い日にもかかわらず、多くの観光客で賑わっていた。
竹林は京都の寺院や郊外の景観を形づくる重要な要素の一つであり、旧環境庁の「残したい日本の音風景100選」(京の竹林)にも選ばれている。また、四季を通じて写真や日本画などのモチーフとして用いられ、「京都」をテーマにした時これほど似合う背景はないだろう。
竹林といえば京都市西京区にある洛西竹林公園は日本国内のみならず、世界的にも名高い竹林公園である。いつも青々としている竹林が泰然として巡りゆく季節を見守っているさまは諸事を超越しているようだ。竹に興味がある方はぜひ訪れて欲しい。
さて「巡る」とはまわって再びもとに戻ることである。仏教用語の「輪廻」と似てはいるが、こちらは生死を重ねてとどまることのないことをいい、意味が異なる。
季節が巡るように人生にもいろいろな人との巡り会いがある。一度きりのこともあり再会もある。そのたびに喜び、悲しみを繰り返す。多くの出会いがある春がまたやってきた。
この連載は今回で終了させていただくが三年間にわたり愛読してくださった皆様に厚くお礼申し上げます。なお、連載に少し加筆した写真随筆集「風の雅」が3月14日に京都新聞出版センターより発刊されるのでご覧いただければ幸いです。
それではまた皆様と巡り会える日を楽しみに。
(京都新聞 2008年3月12日掲載)
|