フランスの作家アンドレ・マルローは日本にやってきた時、伊勢神宮でそれまで追究してきた神性を含む根源的なものに注目しました。
「西洋の建築家は、その聖堂が久遠の石のごとくであれと夢み、伊勢の大工たちは、その柱が、この上なく壮麗な宴のごとくであれと念じた。しかして、このたまゆら(玉響)は、大聖堂よりピラミッドより力強く、永遠を語るのだ。そそり立つ列柱、そそり立つ飛瀑、光に溶け入る白刃(しらは)。日本。」
(アンドレ・マルロー『反回想録』第五部第二章より)
マルローは奈良薬師寺の弥勒菩薩像を仰いで思わず手を合わせて礼拝したといいます。案内した彼の翻訳者が思わず「あなたはキリスト教徒ではないのですか」と尋ねたら彼が「誰にとっても崇高なものは崇高なのだ。この仏像を見て神々しく貴いものを感じない人間がいるかね。この仏像は宗派を超えて、人間を超えたあるものの存在を感じさせてくれるじゃないか」と答えたそうです。
そのマルローが和歌山県那智勝浦町の神社を訪れた時、鳥居を潜って拝殿に向かい出したら突然立ち止まって後退し、さっき潜った鳥居の外に立ち直して鳥居の真ん中に那智の滝を据えて眺め直し、
「ああ、このお宮の神様はあの滝だな」と言い当てたといいます。
(石原慎太郎著「男の粋な生き方」幻冬舎刊より)
人間以外の動物の中に高い山や自然を仰いでうやうやしく感じるものはいないし、山を神様と思って信仰の対象にするものもありません。豊かな感性を持った人間だからこそ宗教や信仰を超えて神秘的なものに反応してしまうのです。
それにしてもマルローは何という感性の持ち主だったのでしょう。私たちもマルローとまではいかなくても少しでも感性を磨きたいものです。そのために次の事柄を実行するように心がけています。
◆映画やYOUTUBEなどで映像作品を見る
仕事柄映像は一番の刺激になります
◆本や雑誌などを読む
インスピレーションや行動のきっかけとなる情報を仕入れます
◆アートを観に行く
芸術作品からは、世の中に存在する感性、表現方法、技術などがいかに多様で面白いか感じる事ができます
以上、好奇心、探求心を欠かさず行動し続ける事で自分の中に新たな感性が芽生えたり、磨かれたりすると思います。
さっそく実行しましょう!
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