KYOTO by PENTAX MX-1

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表紙写真は宮川町の舞妓「とし真菜」さん
ペンタックスが新しくハイクラスコンパクトカメラを出すので撮影して欲しいと依頼が来た。聞けば海外で発表するため「日本の美」を代表する京都の写真をお願いしたいとのこと。急な話だったが私の予定に合わせていただけるとのことなので引き受けることにした。
届いたMX−1を持つとコンパクトカメラにしては大きくて重い。ボディの上下がなんと真鍮カバーで銀塩カメラのような外観に仕上げたとのこと。でも私の手には小さすぎるカメラよりも持ちやすい。発売前なので機種名を黒テープで隠して取材を開始する。


 

 
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まず取り上げたテーマはやはり舞妓である。玄関を出るポーズは舞妓が撮影以外のことに気を取られるので自然な表情になる。コンパクトカメラで舞妓を撮るのは初めてだったが慣れるといつも通りの撮影を続けることができた。 




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海外でのイベントなので外国人にぜひ「だらりの帯」を見てもらいたい。後姿の襟足と金糸を使った絢爛豪華な帯を撮る。 





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ズームを望遠にして顔のアップを撮影。望遠側でも開放値はF2.5と明るいので背景をぼかすことができる。さすがに綺麗な舞妓さんですね。 





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次は「禅」である。侘び寂びの表現はモノクロームが似合うのでしばらくは「色」のない世界となる。大徳寺本坊入り口の石畳。




 
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大徳寺瑞峯院の枯山水の庭。いつも綺麗に掃き清められているので好きな庭だ。




 
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蹲(つくばい)と石灯籠などの配置が絶妙であるが簾の構成が難しい。




 
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お茶にゆかりがあるお寺だけにお茶室が三つもある。入り口に来ただけで気分が落ち着く。




 
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方丈の床にカメラを置いて撮影。ワイド(広角)端はF1.8と明るいので絞りを開放で写すと前後をこれだけぼかすことができる。




 
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外へ出ると千両の赤い実が雨に濡れて輝いていた。同じく絞り開放でカラーで撮影する。




 
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帰りがけにふと総門を見ると釘隠しに錆(さび)が出て、その色が魅惑的だった。




 
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夕暮れに宮川町へ。路地にお茶屋が並ぶ定番の位置でカメラを構える。西空が暮れなずむちょうどその時、舞妓が店を出てきた。小さいがシルエットで舞妓が写りこんだベストショットである。




 
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お茶屋の提灯に明かりが灯る。張り紙などをせずに美しいお茶屋の佇まいを見せてくれるのが嬉しい。



 
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向い側のお茶屋も写し込むと道路を含むこの一帯がいかに綺麗に保存されているかがわかる。




 
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翌朝は洛北の妙満寺を訪ねる。まだ美しい紅葉が残っていたので土塀の瓦と重ねて撮影。




 
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真正面から本堂を見る。石灯籠がシンメトリーに見事に配置されている。




 
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燭台に近付くとロウソクの煙で背景の本堂が幻想的に見える。




 
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本坊の障子も見事である。ズームレンズの歪曲が(JPG補正で)ほぼ完璧に補正されるので襖や障子が多い京都の寺院撮影にはありがたい。




 
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方丈の庭園を見るために一直線に並べられた緋毛氈と藁(わら)座布団。このお寺もいつも綺麗で気持ち良い。



 
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午後は上七軒に立ち寄る。西陣織の小物入れなどが可愛らしく展示されているので見栄えする。お店のセンスが良いのである。




 
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老舗のお菓子屋さんの夕暮れ。風で揺らぐ暖簾を三脚を使ってスローシャッターで写す。





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北野天満宮のつり灯籠を少しアンダーに撮影。斜光線で影が力強い印象となった。




 
 
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社務所の注連縄も同様の方法で撮影する。




 
 
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大徳寺の西(今宮神社参道)を歩くと特異な土塀が目に留まる。瓦がきれいに埋め込まれており、デザインとして楽しめる。




 
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今宮神社の横にある有名な「あぶり餅」の店。いつも観光客で賑わっている。




 
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正月準備の餅花が今宮神社の社殿に影を落す。長く伸びた影が美しい。





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日が暮れると本殿前の白砂が青く写る。WB(ホワイトバランス)をオートにすれば白く写るが青い方が刻(とき)を感じることができる。





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東福寺芬陀院のお茶室の丸窓。芬陀院は雪舟作の庭で知られているので雪舟寺とも呼ばれる。絵葉書写真ではあるが外国人には一番日本を理解してもらえるカット。




 
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障子に貼られた一枚の葉が背景の鶴亀の庭を引き立てる。画面構成に細心の注意が必要である




 
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茶室西側にある庭園。石灯籠と手水鉢、そして飛び石がバランス良く配置されている。それがわかるように少しでも高い位置から撮影しようとカメラを両手で高く掲げ、画像モニターを下方へチルトして撮影。




 
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手を清める手水鉢に美しい花が添えてあった。



 
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利休好みの庭と伝えられる智積院の庭園。女性が一人で観賞していたが静かなシャッター音のおかげで気付かれない。




 
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庭園の反対側にある枯山水の庭。結構広いので手すりを入れて構図を引き締めてみた。




 

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大書院内の御簾と灯り。これも両手を上げて高い位置から撮影すると今までにない写真ができた。




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帰途祇園に立ち寄る。有名な一力茶屋であるが近くから見上げると天部が歪むので遠くからカメラを高くして撮影すると歪みはほとんど目立たない。



 
 
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そのとき、赤い傘の芸妓が通りかかった。大勢の観光客でいつも混む場所なのに一瞬、人が途絶えて一枚だけシャッターを切ることができた。コンパクトデジカメでこそ捉えることができたといえる。





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塔も日本を代表するものである。早朝から八坂の塔へ出かける。東山から斜めに日が射し、朝の雰囲気を描写することができた。アスペクト比を16:9にして撮影



 

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塔の写真は日中は平凡になるので夕刻に出直す。雲間から光がもれて朝とは逆方向に光線が射す。



            
 
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次第に雲が薄くなり美しい夕空となった。撮影場所を変え、三脚を構える。塔がライトアップで照らし出される。




 
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後日、塔の夕景に再度挑戦。八坂通りの東側から撮影する。3月の「花灯路」の賑わいも良いがこのような静けさに包まれた京都も良い。




 
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次第に晴れてきたので八坂通りの西側へ急ぐ。カメラが軽いので三脚につけたまま歩いても少しも苦にならない。塔を見上げたとき、なんと月が顔を出してくれた。撮影のフィナーレを飾ってくれたようで嬉しくなった。

 新製品での作例撮影は緊張の連続だがそれなりにやりがいがあり、見慣れた京都を見直す良い機会になった。同じ場所でもカメラが変わると撮り方まで変わるからだ。
 infoボタンで開く各設定一覧と文字の見易さはありがたい。そして今回は実行できなかったがカメラ内で現像時に行なえる補正や加工も機会があれば是非やってみたいものである。

MX-1は小さいコンパクトデジカメが多い中で適度な大きさと重さが魅力である。私よりさらに手が大きい欧米人にはきっと歓迎されると思ったがやはり海外での評判が良く、まもなく日本でも発売されることになった。

クルマの世界でもダウンサイジングといってエンジン(の排気量)がどんどん小さくなっている。カメラも同様で、MX-1のようなコンパクトカメラでこれだけ鮮やかな写真が撮れるようになったのはうれしいことである。

(以上)