<後編 パリ市内>

さて今日からはパリ市内をめぐる。まずはエッフェル塔だ。シャイヨ宮へ行くと世界中からの観光客を写せるので楽しい。このカップルは何とかして二人で写そうとしているのが微笑ましかった。

今回でパリは9回目だが初めてセーヌ川クルーズ船に乗った。しばらく進んでから見上げると巨大な人物群の写真があり驚いた。よく見ると工事中の建物を隠すためのものだとわかったがこれはおもしろい。画面の下方に小さく写っているのが本物の人物である。パリは何でもアートにしてしまう街なのだ。

各国語のガイドフォンを耳にあて熱心に聞く人たちとノートルダム寺院にカメラを向ける人たち。シートの赤色もアート?

前方にいた美人が突如立ち上がりカメラを構える。見ると本格的な一眼レフである。がんばれよ!と声援を送りたくなる。だがプロである自分が手にしているのはおしゃれでかわいいPEN。おかしくなって一人で笑ってしまった。

そういえばPENを手にしている私の写真がない。隣の人に頼んで写してもらったのがこれ。ナイススマイル(?)が撮れていたのでご満悦。

シャンゼリゼ大通でのスナップ。母娘はいずこも同じだがファッションのセンスが良い。アスペクト比を6:6(正方形)にして撮影。とっさのときにカメラの縦・横を迷わずに写せるのでチャンスを逃さない。

カフェでランチする女性たち。気づかれずに手早く撮るためこれも6:6で撮影。窓枠の赤のラインがおしゃれである。

モンマルトルでのスナップ。カラフルなアコーディオンと切花で彩られたパラソル、そして演奏する美しい女性…まるで印象派の名画を見ているようだ。

ここは多くの芸術家たちが愛した場所だけにどこを切り取っても絵になる。にぎわう表通りから少し入りこんだ場所にあるこのカフェは静けさと花車のメニューが素敵である。にぎやかなシャンゼリゼよりも落ち着いたモンマルトルのカフェの方が私は好きだ。あなたはシャンゼリゼ派、それともモンマルトル派?

パリを代表するレビュー、ムーランルージュへついにやって来た。今までは仕事優先でなかなか来る機会がなかったが今回はおしゃれなPENがこちらの気分を変えたようだ。入り口の行列に並ぶとドレスを着た美女がいたので1枚だけパシャ!

入り口の素敵なディスプレィ。これからのショーが楽しみになる。ところが受付でバッグだけでなくすべてのカメラを預かっている。嘘をつくわけにもいかずPENを見せると非情にも係員の手に。美術館はすべてOKだったのにショーはパリといえどもだめだった。写せなかったのは残念だが、ショーは楽しいものだった。皆さんもパリへ来られたらぜひ。

昨夜は遅くまで遊んだので今朝は敬虔な気持ちでノートルダム寺院へ。ちょうど日曜日でミサが行われており、クリスチャンになった気持ちで堂内を見学。ここも撮影は自由とのことでPENを取り出してステンドグラスとローソクにピントを合わせる。暗い堂内なので画面表示を見るとさすがにISO800でも15分の1秒となっているのでブレに注意しながら何枚かシャッターを切った。

ローソクに近づいてアートフィルターの「ファンタジックフォーカス」で撮影。灯りがソフトになりやわらかい描写となる

メトロ「CITE」駅のホームである。古い駅だけにご覧のような凝った照明器具が飾られ、「古き良き時代」を見ることができる。やがては現代的な照明に変わるのであろうか。

カルチェ・ラタンにあるリュクサンブール公園。お腹が出たおじさまでもカラフルな服と国旗と同じ色の帽子…若いなぁ。


同じ公園ですれ違った女性。お顔を見るとそれほど若くはなかったが、ファッションは若い、若い。

ソルボンヌ大学の隣にあるパンテオン寺院の柱群。下方に立っている人々を見れば高さがわかっていただけると思う。「仕上がり」モードで「モノトーン」を選んで撮影した。

地球の自転を証明するため1851年に設置されたフーコーの振り子。もし地球が自転しているならば、その振れの方向は地面に対しては24時間で1周するはずだと考えたフーコーがこの寺院のドームで長さ67mの針金に28kgのおもりをつるした振り子で公開実験したのがこれ。物理学者の偉大さには感心するばかりだが、自転が証明されてからまだ150年にしかならないのですねぇ。

さて、外へ出ると夕方の5時なのにまだ太陽が高い。夏のパリは日没が夜の9時すぎなのでまだまだ明るく、とてもホテルに帰る気にはならない。そこで、現代アートのポンピドゥー・センターにやって来た。この中にある国立近代美術館は夜の9時まで開館しているのでありがたい。この写真は作家の作品ではなくただ窓から見た外の風景である。紗のカーテンがかかっているのでこの光景自体がアートになっている。


これが種明かし。二人連れが不思議そうにカーテンを開いているところである。二人の服の色と差し込んでくる夕日の色がよくマッチして、アートフィルターの「ポップアート」で撮影した。現代アートにはPENの「ポップアート」がよく似合う。

逆方向の北側の窓の光景。今度は寒色系で一幅の絵を見せてくれている。これは建築家の眼であろうか、それともアートディレクターがここまで計算したものなのであろうか…。

最上階の展望室に上がる。ようやく太陽が低くなり、歩く人の影が長くなってきた。服の色が派手なので目立っている。

展望室の横にあるレストラン。オレンジ色の壁面が夕日を浴びて赤く輝いている。今夜がパリでの最後のディナーだが、このレストランに決めて急いで写真を撮る。一輪の花と淡い影…この写真を撮った後、この影はすぐに消えた。

食事後に再び展望室を通るとエッフェル塔が輝き、左側に三日月が出ていた。アスペクト比を16:9のワイドにして撮影。夜景だけにISO 800に感度を上げても8分の1秒しか切れない。不安なので何枚か撮る。でもちゃんとぶれずに写っていた。夜景を手持ちで写すなどフィルムカメラの時代には考えられなかったことである。

いよいよ最終日となった。パレ・ロワイヤルの回廊を歩くカップルを写す。お互いに着るシャツの色を決めていたのかと思うほどのベストな色の取り合わせである。

同じ回廊からの眺め。先ほどの男女のシャツの色と同じ取り合わせなのが面白かった。

さすがに王宮と呼ばれるだけに外周にはこのような金の装飾がある。門の飾りをぼかして遠近感を出してみた。

オペラ通りをしばらく歩く。すると個性的な大型バスが止まった。ペインティングもさることながらスタイルが独創的である。個性を重んじるお国柄が出ていて楽しい。

カフェで談笑するおしゃれな女性をおしゃれなPENで写し撮る。これがパリで写した最後のショットとなった。良い写真を撮らせてくれた素敵なマダムよ、ありがとう。Merci Beaucoup !

シャルル・ド・ゴール空港を離陸してまもなく美しい夕日が窓から見える。PENを取り出してモニターをのぞく。そのままでも綺麗だったが「ポップアート」にするとメルヘンの世界に早変わり。この可愛いPENをパリに持ってきたのは正解だったな、と納得しながら過ぎた5日間の思い出をたどるのであった。

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