「information」で案内していますが2年ぶりに「京都現代写真作家展」がやってきました。主催は京都府で隔年毎に行われ、私は今年で2度目の出品です。前回、推薦されて初出品した時のことをお話します。
その頃からプリントにこだわりを持ち始めていました。モノクロームだけではなくカラープリントも自分でやらねば、と毎日のように暗室に入っていたのです。そこへ初出品の話。出す以上は良いものを出したかったので積極的に取り組みました。
まず「課題(テーマ)」があったのでその分析です。主催者が何を求めているのか、そしてそれを1枚の写真で表現するのには何を写すべきか。
それが決まったら次は撮影。何度も足を運び、何枚も写しましたがどうもピッタリこない。これではダメだ、スタートからやり直そうと再度検討を重ね、撮影地を変更して朝から出かけました。
結局暗くなるまで粘ってやっと撮影でき、意気揚々と引き上げてきました。普通ですとこのあと現像して良いフィルムを選び出し、ラボ(現像所)へ「プリント頼むよ!」と持ち込めばオシマイとなるのですがここからが少し違うんです。
まず仕上がったポジフィルムを見て、一応イメージに近く暗い目に写ってはいるがパンチがない、ようし…と暗室に飛び込みました。もっと暗く力強いプリントを、と丸1日掛かりで仕上げました。それを出品したかったのですが出品作は1メートル以上の大型プリント。私の暗室では半切のプリントが限界で仕方なくそれをサンプルとしてラボに「この感じで…」と念を押して手渡したのです。
10日ほどたって(実は搬入日の前日!)ズッシリ重みのある大型写真パネルが届きました。ほぼサンプル通り仕上がっていたのでホッとしたものの何か「締まりの無さ」を感じるのでよく見るとサンプルよりも数倍の大きさになったため目立ってきた小さな葉の「てかり」が原因だと分かりました。
もう夜遅くなっていたので「このままでいいか…」という自分と「いやダメだ!」というもう一人の自分とが争い出しましたがいつもこうなると後者の勝ち。さて今から明朝までの限られた時間でどうしてこの「てかり」を消そうか。
スポット修正…プリントの小さなゴミやキズを目立たなくするため小さな筆で作業をするのですがこれを始めたらあちこち気になりだして結局明け方までかかりました。でも全部やり終えた時の爽やかだったこと!会場へ搬入する時など手塩にかけた我が子を手放す思いでした。
やれるだけのことは全てやった、という充実感を味わいながら家族と夕食をとっていたら電話が鳴り、大賞受賞の知らせを受けたのです。喜びと同時に、賞金を受け取れば京都府買い上げとなり「作品」は戻ってこない、と思うとたまらない寂しさが込み上げてきました。それだけ愛着のある作品だから大賞がもらえた、とも言えるのでしょうが…。
さて今回は、といいますと…。
前回、ギリギリの完成で懲りたので早い目にラボに見積りの連絡を入れておいたのですがいつまでたっても来てくれない。正月の挨拶に来てくれた時に督促したら忘れていたので近いうちに、と言って1ヶ月たっても来ない。次第にハラが立ってきて、よーしそれなら今度は最後まで自分の手で仕上げてやるぞ、とプロの意地に燃えたのであります。
大型プリントはムリでも半切の4枚組みなら自分で出来る。組写真には1枚写真にはないストーリー性という魅力があり、あの写真とこの写真とを組み合わせて…。何度も何度も組み合わせを考えてやっと完成したところですが搬入前に見ていただくわけに行かないので会場で見てもらうしかありません。3月からの個展とは全く異なる作風の写真ですのでぜひご高覧のほどを。
アマチュアの皆さんはここまで意地を出さなくても、もっと簡単に。まずキャビネか六つ切りぐらいの小さいサイズ(安いので)で自分の納得するプリントをラボに依頼します。オリジナルのフィルムよりも
明るく、あるいは暗く、赤く、青く…など遠慮せずに注文しましょう。ただその時には抽象的な表現は避けて具体的にわかりやすく伝えて下さいね。また何枚かの焼き直しは覚悟しておいて下さい。
そして気に入った小さいプリントが出来たらそれをサンプルとして添付してこの調子で引き伸ばして下さい、と注文するのです。もしサンプルと違っていた場合は何度でもやり直しを頼めますし、やり直し分のお金を払う必要はありません(第5回一眼レフの項をもう一度読んで下さい)。
今回お話したことはプリントで応募するコンテスト必勝法でもあります。このプリントが戻ってこなかったらどうしよう…。そんな不安を感じたらあなたも大賞を手にするかも?
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