第21回  独学

アメリカに留学中の女子学生から私がどのようにして写真を学んだか、という質問が寄せられました。

私は写真学校や芸術系の大学を出たわけではありません。父は和裁業、つまり和服の仕立てをする職人でしたし、昼夜仕事をし続ける苦労を共にしてきた母に「サラリーマンになって写真は趣味で」と言われていました。ですから写真は独学です。

余談ですが卒業後、夢の(?)サラリーマンになったのですが2年しか続きませんでした。その後フリーとなり、ワイフと共に24時間・年中無休で仕事をしています。カエルの子はカエル、だったようですネ。

さてその独学の方法ですが「好きこそ物の上手なれ」、本当に写真が好きであればいくらでも方法があります。まず写真雑誌を毎月むさぼり読みました。写真家の口絵や話題の写真展、新製品のニュースなど情報を取り入れるのに大いに役立ちました。

そして雑誌のもうひとつの魅力は「月例」と呼ばれる毎月実施されるコンテスト。単発のコンテストより賞金は少ないけれど教室で勉強するようなものです。継続すれば実力がメキメキ付いていきます。

現在発行されている写真雑誌には「日本カメラ」「アサヒカメラ」「フォトコンテスト」などがあり若い人向きに「CAPA」や「カメラマン」が、そしてプロ用に「コマーシャルフォト」があります。それぞれ別冊や季刊誌も出ていますので自分にあった雑誌を選んで下さい。

次にいろいろな単発のコンテストに応募すること。詳細は前回の「フォトコンテスト」に書いています。主催者の意図を読みぬく能力や写真のより高い表現力などを養えます。上位入賞すれば賞金や賞品もありがたいもの。おかげで私は撮影機材のほとんどをそれらで揃えるがことができました。

さぁ、そろそろ好きなジャンルと作家が鮮明になってきます。その分野の単行本、好きな作家の作品集解説書などを読みあさります。豪華写真集や輸入図書などは図書館で読みました。

そして最近はインターネットでも勉強できるホームページが続々と登場しています。上記の各雑誌のサイトを始め、フジ・コダック・コニカなどのフィルムメーカーやニコンなどカメラメーカー、そして大型のカメラ店のサイトはかなり充実しています。自社製品のPRだけでなく、写真講座などもあり大いに役立ちます。これらの多くは私のリンクページからアクセスできますので一度のぞいてみては?

若い人で条件が許せば写真専門学校や芸術系の大学に入って写真を体系的に学ぶことが出来ます。一流の教授や講師に囲まれて環境は抜群。教養課程で美術史や芸術学が学べるのも強みです。最近では大学などでの公開講座が多く開かれ、有料あるいは無料で一般人でも聴講できるので新聞などで要チェック。

写真を趣味として楽しむ方には上述した方法やカルチャー教室がよいでしょう。一匹狼には前者が、写真仲間と楽しく、という方には後者がオススメ。

しかし、どのような環境下でも大切なのは情熱と向上心だということをお忘れなく!

(次へ)